映像編集におけるモンタージュの技法とは

犯人の顔を、いろんな人の顔パーツを組み合わせて作り出した写真を「モンタージュ写真」と言いましたよね?たぶん語源としては近いと思いますが、映像(ムービー)制作の世界でのモンタージュは「連続しないカットとカットをつないで、一定の意味や雰囲気を表す編集」の意味で使われます。もう少し広義な映像理論や、もっと狭義な使い方もありますので、映像現場の一般論として読んでください。

簡単に言うと、ワンカットでは意味がわからないけれど、そこに別のカットを繋げると、一定の意味を持たせることができます。例えば「号泣している初老の男の顔」だけでは、なぜこの人が泣いているかはわかりませんが、次のカットが結婚式のシーンであったならば、視聴者の多くは「この人は結婚式を目の当たりにして、なんらかの理由で感無量なんだろう」と思います。さらに3っ目のカットで花嫁の笑顔が弾ければ、「ああ、この人は父親なんだな」と納得します。

カット+記号+カット=ストーリー

でも、よく考えてみると、この3つのカットは全く別な場所で、別な時に撮られた映像かも知れません。不思議なことに人は、こうした断片の画像であってもそれを連続させると、自分の記憶や連想で結びつけて、勝手にストーリーを作り上げる動物なのです。

僕はよく、映像を記号として利用することがある、とお話しするのですが、上記の3カットで言えば、父親の画像と娘の画像を結婚式という画像(記号・演算子)でつなぐと、多くの視聴者は「父親は娘の結婚式ではヨクナクものだ」という一般常識(正確には自分にとっての常識)を適用して、状況を理解したツモリになります

断片を切り貼りして新たな意味を生む

さて、ところがこのシーンはまだ続きがあって、最初のカットで号泣していた初老の男の顔から、カメラがトラックバックしてくると、その男の手がナイフを持っていたとしたらどうでしょう。シーンはとたんに修羅場と化します。

映像というのは、ことほど左様に「カット」という、断片のような映像を切り貼り、組み合わせて「シーン」を作り上げますが、パーツ(カット)をひとつ入れ替えただけで、そのシーンの意味をガラッと変えてしまうことができる、とても面白い表現メディアであると同時に、これを弄んで、事実をねじ曲げることも容易にできる非常に危険な道具であることも、みなさんご存知の通りです。

映像制作会社としての矜持

企業PRや商品CM、会社案内やリクルートのための映像に、嘘を盛り込むわけにはいきません。しかし、ひとつひとつの画像は事実でも、事実の順番や強弱に意図を加えると、事実のような虚構ができあがります。映像をつくるという仕事は、本質的にはそういう仕事です。 このことを僕ら映像制作会社いつもは忘れずに、誰かを欺く映像づくりには絶対に加担しないよう、これからも真摯に取り組んでいきたいと思います。

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